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イスラエルのイサウィ・フレッジ地域協力担当相、パレスチナ和平の解決にはサウジのリーダーシップが重要

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06 Jun 2022 11:06:28 GMT9
06 Jun 2022 11:06:28 GMT9
  • アルジャジーラ記者シリーン・アブアクラ氏の殺害を「大きな過ち」と言及、犯人は不明の状況として、イスラエルとパレスチナの共同調査を促した
  • 政府におけるアラブ系イスラム教徒としての立場が単なる象徴であることを否定し、アムネスティのイスラエルに対する「アパルトヘイト国家」との非難を改めて否定した

アラブニュース

ドバイ:イスラエルのイサウィ・フレッジ地域協力担当相は、主要な政策立案者やビジネスリーダーへのインタビューを扱うアラブニュースのトークショー『フランクリー・スピーキング』に出演した。司会者 ケイティ・ジェンセンとのインタビューで、イスラエル人とパレスチナ人の間の和平解決には、サウジアラビアが関与する必要があると述べた。

ユダヤ系イスラエル人とアラブ系パレスチナ人の数十年にわたる紛争で、地域間の暴力が増加する中での発言となる。イサウィ・フレッジ氏は、イスラエルの閣僚に就任した珍しい2人目のアラブ系イスラム教徒だ。

地域のアラブ人指導者たちは双方に冷静さを求め、和平交渉に戻るよう訴えている。フレッジ氏の考えでは、持続的な解決にはサウジアラビアの関与が不可欠であるという。

「サウジアラビアの指導者は、今後のいかなる解決策においてもその中心となるでしょう。サルマン国王殿下と(ムハンマド・ビン・サルマン)皇太子殿下は、今後新たに行われる和平プロセスにおいても、中心的な役割を果たすと確信しています」と、フレッジ氏は述べた。

「私たち全員がサウジアラビアを必要としているのです」

王国はアブラハム合意の署名国ではない。これは2020年に米国が仲介した一連の取引で、イスラエルとUAE、バーレーン、モロッコなどいくつかのアラブ諸国との関係正常化に貢献した協定である。

5月24日にダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)で、サウジアラビア外相のファイサル・ビン・ファルハーン王子は、パレスチナ問題に対処するまでイスラエルとの関係を正常化しないと述べ、協定に対する同国の姿勢をあらためて表明した。

しかしフレッジ氏は、サウジアラビアがイスラエルとパレスチナ間の問題に積極的に関わることを選択した場合、同国は地域的な影響力を持ち、アラブ人やイスラム教徒の間で和平プロセスを推進する立場になると信じている。

「私にとって、サウジアラビア王国は非常に重要です」とフレッジ氏は言う。「イスラエルのイスラム教徒にとって、とても、とても重要な国家なのです。イスラエル人口の15パーセントはイスラム教徒であり、サウジアラビア王国は私たちの聖地を守ってくれているのです。非常に重要な存在と言えます」

「王国はこの地域で中心的な役割を果たし、問題の解決策を見出すべき存在です。なぜなら、王国はすべてのアラブ人、すべてのイスラム教徒が注目し、注目したいと思う国のひとつだからです。中心的な存在なのです」

自分が生きている間に和平が実現する自信はあるかと問われたフレジ氏は、自身が所属する左派政党メレツと連立するナフタリ・ベネット首相の政権にとって、このプロセスが優先事項ではないことを認めている。

フレッジ氏の考えでは、現政権に期待できるのは、パレスチナの経済と、その制度の強化である。

「二国家解決を信じる人と信じない人が半分ずついます。事は単純ではありません。しかし、政府全員が、経済面でパレスチナ自治区を強化することには同意しています」

「私は将来、和平プロセスを更新し、地域とパレスチナ人のために、政治的地平線の先でどこかに到達する方法を見つけることを望んでいます。しかし、この政府は複雑な政府です。我々の方針はそこにはないのです」

最近の暴力を伴う衝突が和平プロセスを複雑にし、アブラハム協定に署名したアラブ諸国を困惑させているのではという質問に、フレッジ氏は、これらの出来事はパレスチナの制度を強化する必要性を示したと述べた。

「アラブ人とユダヤ人の間の状況は、この地域のパレスチナ人にとって、あまり良いものではありません。私たちは良い状況にはないのです」

「私たちは30年前にオスロ合意を実現し、この地域で新しい時代を始めようとしました。そして、それは残念なことに失敗に終わりました。今、私たちはパレスチナ人とイスラエル人の間に新たな信頼醸成措置を構築し、互いの信頼を得ようとしています」

「安全で良い未来を築くには、強い現在を築く必要があります。現在について話すと、今、パレスチナ自治政府は弱体化しています。パレスチナの社会も弱い。まず、パレスチナ社会を強化する必要があるのです」

和平交渉の強力な支持者であるフレッジ氏は、パレスチナ人がアブラハム協定に参加しなかったことは大きな間違いだったと考えている。

「パレスチナ人は運動に参加すべきだと考えています。彼らがアブラハム合意に参加しなかったのは間違いだったと確信しています。過去にも言ったように、この運動には祝福があり、パレスチナ人はこの運動の一部であるべきなのです」

最近の出来事から判断すると、和平交渉再開の可能性は遠のいたと言わざるを得ない。

5月11日、パレスチナ系アメリカ人のアルジャジーラ記者シリーン・アブアクラ氏は、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル警察の襲撃を取材中、青いヘルメットと防弾チョッキにはっきりと見える報道関係者のサインを着けていたにもかかわらず、射殺された。

その2日後、アブアクラ氏の棺がエルサレムのセント・ルイス・フレンチ病院から埋葬のために運ばれたとき、イスラエル警察は葬列を攻撃し、喪主が彼女の棺を落としそうになった。

これが、パレスチナとの和平に真に関心を持つ政府の行動なのか、と問われたフレジ氏は、アブアクラ氏の死は誤りであり、政府は緊張緩和のために尽力している、と繰り返した。

「単純な政府ではありません。我々は右派から左派まで存在します。この政府の左派は、和平プロセスを見直し、ヨルダン川西岸地区の状況を沈静化させるよう努めなければならないと考えています」

「私たちは、この政府の中で多くのことを行おうとしています。パレスチナ自治区で見られた暴力行為も難題です。しかし、私たちは常に状況を緩和させるように務め、過激派側に押されて隅に追いやられないようにしています」

「私は当初から、シリーン・アブアクラ氏の死について共同調査を行うよう求めていました。パレスチナ人も、私たちと一緒に行動する必要があると信じています。問題は、それに至る状況です。あまりにも多くの、罪のない人たちが殺されているのです」

「私たちは、シリーン・アブアクラ氏の事件が最後のものとなるように最善を尽くします。その方法は、我々がひとつになることで見出すことができるのです」

イスラエル軍が葬列を攻撃しているところを撮影されておきながら、どうしてイスラエル政府は緊張を和らげたいと主張できるのか、と質問されたフレッジ氏は、当局は失敗から学ぶ必要がある、と答えた。

「この事件は、誰がシリーン氏を殺害したか判明していない現時点において、話すにはまだ微妙なところです」と彼は語った。「シリーン氏を失ったことは大きな過ちで、それは否定のしようがありません。しかし、私たちは未来のために、前向きに考える努力をしています」

フレッジ氏は、イスラエルの歴史上、ラレブ・マジャドレ氏に次いで2人目のアラブ系イスラム教徒の大臣である。カフル・カシムのイスラム系アラブ人の家庭に生まれたフレッジ氏は、エルサレム・ヘブライ大学在学中にユダヤ系アラブ人の合同グループ「キャンパス」に参加し、その後ラッツ党に入った。同党は、後にメレツに合併された。

イスラエルの政治的分裂と歴史的緊張を考えると、フレッジ氏の入閣は純粋に象徴的なもの、つまり態度の変化を反映したものというよりは、形だけのジェスチャーであるという見方がある。

「象徴的なものではありません」とフレッジ氏は言う。「事は単純ではありませんが、象徴的なことではありません」

むしろフレッジ氏は、連立政権の成立とアラブ人の関与を、イスラエルの政治における歴史的な変化と捉えている。

「イスラエルに73年住んでいて、このような政府が樹立されました。アラブ人の大臣が現れ、アラブ人政党が連立政権の一翼を担い、右派と左派が連立するのは、我々にとって単純な話ではありません。なぜなら、この政府内には、それぞれ異なる意図が存在するからです」

「私は左派の人間です。私の党は二国家解決を信じています。私の党は、すべての市民のための正義を信じています。イスラエル国内のアラブ人とユダヤ人、パレスチナ社会、パレスチナ自治政府を支援し、和平プロセスを更新する必要があると信じているのです」

「そう、私はイスラエル政府で2人目のイスラム系アラブ人です。これは大きな挑戦ですが、私たちはこの社会の一員なのです。外からだけではなく、政府の内部からも物事を変える努力をする必要があるのです」

批評家たちは、イスラエルがアパルトヘイト国家であると指摘する人権監視団体アムネスティ・インターナショナルの主張を否定し、政府の方針に従ったとしてフレッジ氏を非難している。この点を追及されたフレッジ氏は、そのようなレッテルは役に立たず、和平プロセスにも貢献しないと述べた。

「イスラエル国内では、ユダヤ人とアラブ人に対する批判や、アラブ人やアラブ社会がユダヤ人から尊重されていないことなど、多くの問題があります。しかし、これをもって、イスラエルがアパルトヘイト国家であるとは言えない問題なのです」

「イスラエルはアパルトヘイト国家ではありません。アラブ人とユダヤ人の間には、人権問題を含め、多くの問題が存在します。私たちは、あらゆる分野で平等、同権であろうと闘っていることを確信しています。しかし、パレスチナ自治区にとって、これは占領でしょう。しかし、アパルトヘイトではありません。そしてパレスチナ自治区、ヨルダン川西岸地区とガザ地区では、紛争が起きています。私たちはそれを終わらせなければなりません。解決策を見出さなければならないのです」

「これが私の信念です。そして、“アパルトヘイト、アパルトヘイト、アパルトヘイト”というレッテルに関する疑問について、私は自分に問いかけ、あなたに問いかけ、皆さんに問いかけます。もし私がこのレッテルを認めたら、この地域の問題の解決策を見つけるのに役立つのでしょうか?それはありえません」

フレッジ氏は、イスラエルの学校の公式カリキュラムにアラビア語を入れることや、「アラブ歴史遺産協会」の設立などを広く働きかけている。このような変化について、彼はイスラエル国民が賛成していると感じているのだろうか、それとも反対していると感じているのだろうか。

フレッジ氏によれば、イスラエル人の大多数はアラブ人が社会の一員であることを望んでいるという。

「アラブ人は『社会の一員になりたい』という。イスラエルは『私の国家だ』と主張します。そして、パレスチナ人は?彼らは私たちの国民です。私は、私の国家、そして私の民族の間における橋渡し役でなければなりません。そうあるべきなのです」と答え、こう付け加えた。「これがあるべき道なのです。これが正しい道なのです……イスラエルのアラブ系住民の大多数は、この道を選んだのです」

では、パレスチナ人が和平を望むなら、フレッジ氏のアドバイスはどういったものなのだろうか。

「パレスチナ人への助言は、どのアラブ諸国との和平協定にも参加することです。そして、サウジアラビア王国――すべての地域の希望であり、ビジョンである同国――が、あらゆる解決策の中心的な役割を果たすことを願っています」

「もうひとつは、パレスチナ自治政府、そしてイスラエルにおける私たち全員、そしてすべての地域が、パレスチナ社会を強化するために最善を尽くすべきだということです」

「二国家解決とパレスチナ国家を持つために、私たちは、彼らの制度と社会を構築するための支援を行う必要があるのです」

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