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日本、新型コロナ感染拡大で深刻な不況入りへ

新型コロナウイルス感染拡大に備え防護服を着用して横浜中華街を歩くレストラン従業員ら。2020年5月8日金曜。(AP)
新型コロナウイルス感染拡大に備え防護服を着用して横浜中華街を歩くレストラン従業員ら。2020年5月8日金曜。(AP)
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09 May 2020 05:05:09 GMT9
09 May 2020 05:05:09 GMT9

【東京】日本では3月に家計支出が急激に落ち込み、4月にはサービス業がかつてないペースの活動縮小となった。世界第3の経済大国日本が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で深刻な不況に陥るという予想は揺るぎなくなりつつある。

統計からは、企業活動の強さを示す目安となる時間外賃金についても3月に入ってかつてないペースで冷え込んだことがわかる。日本政府は4月上旬に緊急事態宣言を発出したが、その以前から景気縮小の影響を企業が受けていたことをうかがわせる。

経済のこうした弱さから、1~3月期も2期連続のマイナス成長となることはほぼ確実で、実質的に景気後退入りといえる。4~6月期についても、健康への懸念から外での買い物がひかえられ事業も閉ざされていることから景気減退はさらに深まる方向だ。

「日本経済は、新型コロナがなくても昨年の消費税増税の打撃を受けかなり弱くなっていた。今回の感染拡大で回復の見込みも完膚なきまで断たれた」。そう語るのは、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長だ。

斎藤氏は、「7~9月期にはいくぶん持ち直す可能性もあるが、今年いっぱいはもうコロナ以前のレベルには立ち戻らないだろう」と言う。同氏は4~6月期については年率30%の縮小を見込む。

日本政府が8日に示した数値によると、家計支出の落ち込みは2月に前年比0.3%減、3月には6.0%減となった。これだけの大きな落ち込みは5年ぶりとなる。

市場の予想では6.7%減となっており若干持ちこたえた形だが、それでもここまで落ちたのは、交通・服飾・外食といった産業で需要が急激に減ったことが大きい。日本政府はこの間、国民に外出をひかえるよう促すとともに企業活動についても閉鎖を求めていた。

家庭まで料理を運搬する業種では、商機をとらえて売り上げの伸びたところもある。

家庭で調理する機会が増えたため麺類への支出は44%増となる一方で、休校により生徒・児童が外へ出なくなったためゲーム機は2倍以上の売れ行きとなった。とはいえこれらの伸びだけでほかの落ち込みを補うには力不足だった。

5月18日には1~3月期のGDP速報値が発表される見込みだが、こうしたデータが影響を与えるだろう。ロイターの問い合わせたアナリストらの予想では、1~3月期の日本経済は年率4.6%減のマイナス成長となるもようだ。

4~6月期については最低でも20%減の急減と見込むアナリストが多い。このため、新型コロナによりこうむった経済の痛手を緩和するためとして、日本政府が先に示した1兆1,000億ドルという巨額の景気対策の大盤振る舞いに期待が集まる。

国内の感染者数が累計1万5,000人を超えたことを受け、日本政府は3日、緊急事態を今月末まで延長するとした。工場や店舗の閉鎖期間は当初予定より長引くことを余儀なくされる。

目をほかに転じても見通しの明るい光景は見当たらない。

景気動向を測る調査からは、感染拡大を受けた企業活動の落ち込みから需要が大きく傷を負い、4月のサービス産業は過去最速ペースの縮小を示している。

インフレ調整後の実質賃金は3月には3か月ぶりに落ち込んだ。時間外賃金についても前年比4.1%減となり、過去最速の低下となった。

英調査会社「キャピタル・エコノミクス」のエコノミスト、トム・リアマス氏によると、今回の新型コロナ感染拡大を受け、この先数か月にわたり日本の雇用状況は急速に低迷し、小売業では賃金が抑えられるとみられるという。

「先を見渡すと、先行指標はどれも失業率の増加を示す。今年末までには日本の失業率は4.2%にまでいたるとみている」と同氏は語る。

「企業収益が急減しているのは疑いない。したがって、ボーナスも期待できないことから全体の賃金もこれに引きずられてさらに収入が下がる形となるはずだ」

日本の失業率は3月には2.5%に達している。

昨年10月の消費税増税により消費が冷えこみ、昨年10~12月期の時点ですでに景気は低迷していたが、新型コロナがさらに追い打ちをかけた形だ。

ロイター

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