• EU特使は、「イスラエル軍による過度な力の行使があった」という国連のアントニオ・グテーレス事務総長の発言に同調した
• 48時間におよんだこの軍事作戦は、イスラエルがパレスチナ領土で行ったものとしては過去何年もの間で最大のものだった

ロンドン：今週ヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプで急襲が実施され多くの死者が出たことを受けて、国際視察団が8日に同キャンプを視察した際、EUの特使は「釣り合わない」力を行使したとしてイスラエルを非難した。

この発言は、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が6日に記者団に対し「イスラエル軍による過度な力の行使があった」と述べたことに同調した形となった。48時間におよんだこの軍事作戦は、イスラエルがパレスチナ領土で行ったものとしては過去何年もの間で最大のものだった。

この作戦においては空爆や装甲ブルドーザーによる道路の破壊が行われた。

ジェニンは複数のパレスチナ武装組織の拠点となっており、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はジェニン難民キャンプを「テロリストの巣」と呼んでいる。

EUのスヴェン・クーン・フォン・ブルグスドルフ駐パレスチナ代表は、国連当局者および25ヶ国の外交官から成る代表団を率いてヨルダン川西岸地区北部の同キャンプを視察した際にコメントした。

同代表は、パレスチナ人12人とイスラエル兵1人が死亡したこの作戦について次のように述べた。「我々は、この作戦における軍の力が不釣り合いに大きかったのではないかと疑われるような武器や兵器システムが展開されたことを懸念している」

「この暴力の連鎖を終わらせなければならない。続けてはならない。この紛争を政治的に解決できなければ、我々は1週間後も、1ヶ月後も、1年後も、何も変わらないままここに立っているだろう」

代表団がキャンプを視察するのを、住民らはイスラエルのロケット弾によって開いた壁の穴を通して見ていた。地元当局が今後の急襲に備え、キャンプ全体におよぶ新しい警報システムのテストをしていた。

一方、イスラエルの国連大使はグテーレス事務総長に対し、同国が過度な力を行使したとの非難を撤回するよう求めた。

国連のファルハン・ハク副報道官は、6日に自身の見解を伝えた同事務総長は「その見解を維持する」と述べた。

グテーレス事務総長は、イスラエルよるジェニン難民キャンプへの空爆や攻撃の影響に対する怒りを表明したうえで、この作戦により100人以上の民間人が負傷し、数千人の住民が自宅から追い出され、学校や病院が被害を受け、水道や電気の供給網に障害が生じたと述べた。また、負傷者が治療を受けることや、人道支援従事者が支援を必要とする全ての人々を助ける活動を、イスラエルが妨げていると非難した。

同事務総長は記者団に対し、「テロ行為を含む民間人に対する全ての暴力行為を強く非難する」と述べた。

その非難はイスラエルに適用されるかという質問に対しては、「あらゆる過度な力の行使に適用される。今回の状況では明らかにイスラエル軍による過度な力の行使があった」と答えた。

ハク副報道官は、グテーレス事務総長は「誰が加害者であるかに関係なく、イスラエルと占領下のパレスチナ領土の民間人が被っているあらゆる暴力を明確に非難している」と述べた。

国連安全保障理事会は7日、UAEからの要請でジェニンにおけるイスラエルの軍事作戦について話し合う非公開会合を開き、ハーリド・ヒアリ国連事務次長によるブリーフィングを受けた。

イスラエルのエルダン国連大使はこの会合の前、安保理理事国15ヶ国およびグテーレス事務総長に書簡を送り、過去1年間で52人のイスラエル人がパレスチナ人によって殺害され、ジェニンをはじめとするヨルダン川西岸地区から数多くの攻撃が行われたことを訴えた。

「国際社会と安全保障理事会は、最近のパレスチナ人によるテロ攻撃を無条件で非難し、パレスチナ指導部の責任を問わなければならない」

安保理はこれに対して行動を取らなかった。

ジェニン難民キャンプでは今年に入ってからイスラエルによる大規模な急襲が何度か実施されているが、今週行われた急襲は、ヨルダン川西岸地区におけるこの種の作戦としては、2000年代初頭のパレスチナ人による第2次「インティファーダ」（蜂起）以降で最大のものだった。

イスラエルは過激派を標的とした急襲だったとしているが、この急襲により同キャンプのインフラは甚大な被害を受けた。

国連によると、8キロメートル（5マイル）の水道管と3キロメートルの下水管が破壊された。

また、100棟以上の家屋が損壊し、多数の学校も軽い被害を受けた。

ジェニン難民キャンプはヨルダン川西岸地区の中でも最も貧しく、最も人が密集しているキャンプの一つである。約1万8000人がわずか0.43平方キロメートル（0.16平方マイル）の土地で暮らしているのだ。

国連当局者らは8日、同キャンプの再建のための資金提供を呼びかけた。

国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）のレニ・ステンセス事務次長補は、「サービスを復旧させ子供たちへの支援を拡大するためには資金が必要だ（…）我々が要請している資金は切実に不足している」と訴えた。

「我々がここジェニン難民キャンプで数週間か数ヶ月のうちに始めようとしている活動に対して、できるだけ早く支援を表明することを検討してもらいたい」

アルジェリアは6日、イスラエルによる「野蛮かつ犯罪的な攻撃を受けたパレスチナの都市ジェニンの再建を支援する」ために3000万ドルを拠出すると発表した。2020年にイスラエルとの国交を正常化したUAEは5日、「1500万ドルを提供する」と述べた。

（AFP、AP）